ゲーム業界は人気が高く、コンシューマーゲーム企業でも優れた人材の確保に力を入れています。そのため、他の応募者と差をつけるためには、しっかりとしたポートフォリオ作成が必要です。今回は、3DCGデザイナーを目指す新卒志望者に向けて、ポートフォリオ作成の基本から具体的な企業選考対策まで、わかりやすく解説していきます。
3DCGデザイナー志望者のためのポートフォリオの重要性
ゲーム業界の新卒採用の現状
ゲーム業界はここ数年で急成長を続けており、2024年の市場規模は昨年比で15%増加し、約2兆円に達しています。特にコンシューマーゲーム市場の成長が著しく、企業は若手3DCGデザイナーの採用を強化しています。2025卒の新卒採用は、通年採用の企業を含めると1月から選考が開始され、2月には10社以上のゲーム会社が募集をスタートしています。
ポートフォリオが選考のカギ
新卒採用の選考で特に重視されるのがポートフォリオです。3DCGデザイナーとして、どのような作品を作れるのかを示すポートフォリオは、採用担当者にとっての重要な判断材料となります。たとえ専門学校や大学で学んでいない実務未経験の方でも、質の高いポートフォリオを正しく作成することで自分のスキルを効果的にアピールできれば、内定を獲得することも不可能ではありません。
3DCGデザイナー向けポートフォリオの基本構成
ポートフォリオの全体構成
ポートフォリオは、自己紹介や技術的なアピール、そして作品の説明を含むバランスの取れた構成が求められます。以下は、基本的な構成例です。
- 自己紹介
- 自分の経歴や興味、得意なスキルを簡潔に説明します。
- 使用できるツール(例:Blender、ZBrush、Mayaなど)を明記。
- 作品紹介
- 代表的な3DCG作品を数点ピックアップし、作品名や使用ツール、役割、制作意図、制作時間などを詳細に説明。
- できれば作品ごとに制作のプロセスも記載すると良いす。ラフ画やラフスケッチも残しておきましょう。
- コンセプトの説明
- 作品のコンセプトやテーマを説明し、どのようにそのビジョンを実現したかを記述します。これにより、採用担当者があなたの思考プロセスを理解しやすくなります。
3DCGデザイナー向け作品例
3DCGデザイナーのポートフォリオに含めるべき作品の一例を紹介します。
- キャラクターモデリング(BlenderやZBrushで作成)
- キャラクターの細部までこだわったモデリングが好評価。
- リグやアニメーションも含めると、実践的なスキルをアピールできます。
- 背景モデリング
- ゲーム内の風景や建物のモデルを含めることで、幅広いスキルを示せます。
- シェーダーやテクスチャ
- 質感や光の表現など、細かいディテールにこだわった作品を見せることで、採用担当者に強い印象を与えられます。
3DCG職を募集しているコンシューマーゲーム企業5社の紹介
カプコン
- 代表作: モンスターハンター シリーズ
- 特徴: フォトリアルなビジュアル表現や、キャラクターの細かな動作に注力。3DCGデザイナーはキャラクターモデリングに強みを発揮することが求められる。
- 選考対策: キャラクターやクリーチャーモデリングを中心にポートフォリオを作成し、動きや表情の豊かさをアピールすることが重要。
スクウェア・エニックス
- 代表作: ファイナルファンタジー シリーズ
- 特徴: ファンタジー世界の美しい背景や、リアルかつ幻想的なキャラクターデザインが特徴。3DCGデザイナーは広範囲な背景モデリングに力を入れる。
- 選考対策: 美しい風景や巨大な建物のモデリングをポートフォリオに含め、空間設計力を示すことがポイント。
バンダイナムコエンターテインメント
- 代表作: テイルズ オブ シリーズ
- 特徴: カラフルで個性的なキャラクターや、アニメ風のビジュアルが特徴。ポートフォリオにはカラフルなキャラクターデザインを含めると良い。
- 選考対策: アニメ調のキャラクターやユニークなデザインの作品を作成し、色彩感覚やキャラクターデザインの幅広さをアピール。
セガ
- 代表作: 龍が如く シリーズ
- 特徴: 写実的な都市景観や、緻密なキャラクターモデリングが求められる。
- 選考対策: 現実の風景に基づいた背景モデリングや、リアリスティックなキャラクターをポートフォリオに含める。
コーエーテクモゲームス
- 代表作: 仁王 シリーズ
- 特徴: 歴史を題材にした作品が多く、古代や中世の建築物やキャラクターデザインが評価される。
- 選考対策: 歴史的な建物やアートスタイルに精通していることをアピールする作品が有効。
応募する会社ごとにポートフォリオの構成や中身も変えていけると良いですね
ポートフォリオ作成のコツと選考対策
ポートフォリオの推奨ページ数と内容
- 推奨ページ数: 30~50ページ
- 構成: 各ページに代表作を1~2点掲載し、技術的な解説と作品の背景も簡潔に記載。特に3DCG職では、キャラクターモデリング、背景モデリング、リグ、シェーダーの各分野をバランス良く取り入れることが求められます。
- デッサン作品の有無: 一般的にはデッサン力を問われることが少ないですが、リアリスティックなキャラクターや背景デザインを扱う企業の場合は、デッサン力もアピールポイントとなるため、追加することをおすすめします。
ポートフォリオの推奨ページ数は業界内でも様々な意見があります。私はページ数は少なすぎるよりは多すぎるほうが良いと思います。ただ、各分野の質の高い作品をバランスよく取り入れる必要がありますね。逆に自信のない作品は全体のクオリティーが下がるので、省くのがよいでしょう
早期採用への対応
2025卒の採用が早期化している現状では、2026卒の方は年内にポートフォリオを完成させるのがベターです。1月から選考が開始されてくるため、専門学生1年生、大学3年生の夏休みから本格的な制作に取り組みましょう。1月に備えてブラッシュアップを行い、余裕を持ったスケジュールを組むことが大切です。
選考直結インターンが3年生の夏休みから始まってきますので、一番良いのはたとえページ数は少なくても、3年生の6月までに作品集をまとめておくことです
第三者にポートフォリオを見せてフィードバックをもらう重要性
ポートフォリオ作成は一人で取り組むものではなく、第三者からのフィードバックをもらいながら改善を重ねることが成功への鍵です。特に、ゲーム業界に精通した人や現役のデザイナーにアドバイスをもらうことがベストです。学校の先生も、実際に現場で求められるスキルを理解しているため、有効なフィードバックを提供してくれます。
インターンや合同説明会でフィードバックを活用
ゲーム会社が主催するインターンや、ゲーム業界の合同説明会などでは、ポートフォリオの添削コーナーが設けられることがあります。こうした機会を積極的に活用することで、業界の視点から直接的なアドバイスを受けられるため、非常に貴重な経験となります。
ターゲット企業と職種を伝えて的確なアドバイスを得る
フィードバックを求める際に注意すべきポイントとして、自分が志望している企業や職種を明確に伝えることが挙げられます。例えば、「〇〇という会社の3DCGデザイナーを志望しています」と最初に伝えることで、添削者が適切なアドバイスを提供しやすくなり、大きなブレを防げます。人によって意見が分かれる場合があるため、自分のターゲットに合ったフィードバックを得るための工夫が大切です。
インターン経験者へのアドバイス
インターンシップに参加した方は、自分の作品を常にブラッシュアップし、新しい作品を継続的に作成することが重要です。クリエイターとして、創作意欲は大事な評価ポイントですので、作品を作り続ける、改善を求め続ける姿勢が求められるからです。
インターン経験があるからといって油断せず、最新の技術やトレンドを反映させた作品を常に追加し、企業に「進化している」印象を与えるようにしましょう。
まとめ
ポートフォリオは、3DCGデザイナーを目指す上での最も強力な武器です。企業ごとに求めるスキルや作品のスタイルが異なるため、応募する企業に合わせてポートフォリオを最適化することが重要です。今回紹介したポイントを参考に、自分の強みを最大限に引き出すポートフォリオを作成し、夢のゲーム業界でのキャリアをスタートさせましょう!